ものはためし

何事も実際にやってみなければわからない。いろんな物事をとにかく試します。

先端科学技術カタログ

      2015/12/22

未来を読むための材料を探して「NEXT WORLD―未来を生きるためのハンドブック」を読みました。
未来は突然やってくるものではなく、現在の延長線上にあるもの。だから、世界中で行われている最先端の研究を見れば、未来の姿が分かるはず。そうした意味で、現時点で最先端の科学技術がいろいろ紹介されているこの本書は、未来を読むという私の目的にピッタリと合うものでした。

本書で扱われているテーマ(キーワード)は、若返りから人工知能や火星移住と様々。
またひとつのテーマについて複数のアプローチがあったりして、同じような内容が続く部分も見られますけど、それらを含めて全体図を俯瞰するには良いんじゃないでしょうか。
多くのテーマを一冊にまとめているので、どうしてもひとつひとつの紹介は浅くなってしまうのですが、導入としては十分。面白いと思ったら他の書籍やインターネットで知識を補えばいいと思います。

最近は人工知能の話題がホットで、この本でも多くのページが人工知能に関する話題に割かれていて、人工知能研究の世界的権威であるレイ・カーツワイルが寄稿までしている。その中でも私が特に気になった話題はこれ。

まずは2025年を目標に、人の意識、記憶、性格、考え方などをロボットに転送できるようにし、2035年までに人間の意識を完全にアップロードできるロボットを製作。そして2045年には肉体にまったくとらわれない、新しい人類を誕生させるというのだ。

「脳をアンドロイドに移植する」より

こういった話題を見るたびに思うし、発言してもいるんだけど、実際に脳を機械・ビット化すると「私」は存在するのだろうか。
客観的に見ると、同じ思考・同じ記憶で、同一人物と判断されるのだろう。だけど主観的にはどうなのだろう。
「私」という意識を保ったままで、肉体を離れてインターネットの中で生きることはできるのだろうか。
素人考えながら、脳細胞をチップに置き換えるのは可能だと思うのだけど、肉体やマシンを離れて完全にビットだけの存在となってまで「私」でいられるとは思えないんだけどなあ。

本書で言及されている科学技術は、2・3年後には実用化されそうなものもあれば、実現には数十年かかるだろうと思われるものもある。
はじめに書いたとおり、未来を読むための材料として私は読んだのですが、そういったことを抜きにしても単純に楽しめます。
新しい科学技術やガジェットにわくわくする方にオススメ。

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