ものはためし

何事も実際にやってみなければわからない。いろんな物事をとにかく試します。

未来視点からの戦略判断

   

未来を予測するためのヒントを得るため本屋をのぞいていると「「未来を読む」ビジネス戦略の教科書」というタイトルの書籍があったので読んでみました。

題名に「未来を読む」とあるけれど、その部分の割合は少ないです。はじめの4分の1ほどで未来予測(本書では「未来洞察」)の方法が説明され、終わりのほうでまたちょろっと出てくるくらい。未来予測の方法を期待していると肩透かしをくらいます。

本書で大きなウェイトを占めているのは「ビジネス戦略」の部分、未来を読んだうえでどうするかということに重点が置かれています。
じっさい未来を予測したからといってなにもしないでいたら、予測しないのと変わりありませんからね。
ですから、この本はビジネス書であり、ビジネスに正しい方向性を与えるための材料として未来予測を用いる、というスタンスです。

未来を洞察するためには、次のポイントを押さえておく必要があります。
1.未来と正面から向き合う
2.未来観の粒度を上げる
3.社会の未充足ニーズを探す
4.複数の未来に対応する
の4つです。

「未来を洞察するための4つのポイント」より

未来予測の方法については、文量は少ないものの、過去の事例を交えてわかりやすく解説されており、これだけでも本書を読む価値はあります。
ビジネスでの利用を念頭においた予測ですから、扱っている話題は自然とごく近未来かつリアリティのあるものに限られます。例えば、自動運転車については言及されていますが、人工知能や火星移住といった話題は出てきません。
そのため、高度な科学技術や最果ての宇宙に思いを馳せるワクワクはまったくありませんが、その分、地に足の着いた感覚で信頼の置ける予測を行える気もします。

ビジネス戦略についての内容は、本書の題名に教科書とあるとおり、まっとうな入門書のそれになっています。サラッと読めてわかりやすくはあるのですが、それだけに物足りない印象も受けます。
ビジネス戦略を学ぶだけであれば、経営戦略やイノベーションについての優れた書籍が他にもたくさん存在するので、そちらを購読するほうが得るものは大きいでしょうね。

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