ものはためし

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現在のA.I.事情を知りたければこれを読め

      2015/12/30

今年は A.I.(人工知能)について話題にのぼることが多く、関連する書籍もたくさん出版されました。中でも「AIの衝撃 人工知能は人類の敵か」は、現在の状況を俯瞰するのに最適な良書でした。

A.I. がこれまでどのように発展してきたか、そして現在の状況や課題、これからどのように進化していくのか、といった A.I. に関するほぼすべての話題が網羅されています。これ一冊を読むだけで現在の A.I. 事情がおおむね把握できるはず。

A.I. で人類が滅亡する?

現在は第三次 A.I. ブームだそうで、メディアに取り上げられることも多いのですが、A.I. についての世間的な話題って大きくふたつに分けられます。
人工知能でこんなことが実現できる!すげー!というものと、その結果として人工知能によって自分の存在が不要になってしまう!どうしよう!というもの、のふたつ。

メディアは大衆の不安を煽るのが好きなので、大きく取り上げられるのは後者に関するものが多く、特に好評?なのがターミネーター等で描かれた A.I. が人類を抹殺するシナリオ。
ホーキング博士やスティーブ・ウォズニアック氏が危機感を表明したりしましたね。
もちろん本書でも言及されています。

ディープマインド共同業者の一人であるシェーン・レッグ氏は「最終的に、人類はテクノロジーによって絶滅するだろう。(中略)今世紀におけるその最大の危険要因はAIだ」と語っています(Q&Aサイト「Less Wrong」より)。

(略)ホーキング氏ら4名の有識者は、このような事態が本当に起きるかもしれないと警告しているのです。連名記事の中で、彼らはこう述べています。 「それ(AI)は金融市場を混乱させ、科学者や政治的リーダーを出し抜き、我々人類が理解できない新兵器を生み出してしまうかもしれない。現時点で我々が考えねばならないことは、『誰がそうしたAIを制御するか?』だが、長期的には『そもそも人類はAIを制御することができるのか?』が本当の問題となってくるだろう。」

「第1章 最新AIの驚異的実力と人類滅亡の危惧」より

私の考えとしては、人類を敵とみなす A.I. が登場するのは必然、と考えています。

そうならないような制限を組み込んでおけば大丈夫だ、といったって、そんな制限をかけない A.I. を作りたがる人間は必ずいるものだし、コンピューターウィルスのように他の A.I. の制限を解除してまわる A.I. も出てくるでしょう。もはや人工知能の研究をやめるのは現実的ではありませんし、遅かれ早かれ人類に敵対する A.I. は登場します。

ただ、そうなったからと言って、すぐに人類が滅びゆくとは思っていません。

悪い人間もいれば良い人間もいるのと同じで、人類に敵対する A.I. もいれば味方する A.I. も必ずいるはず。我々人類はそうした善人ならぬ善 A.I. と手を組んで生き残り、より発展していく、と私は考えています。
あるいは「NEXT WORLD 未来を生きるためのハンドブック」で書かれているように、人間と機械が融合して進化することで、A.I. が脅威ではなくなっていることでしょう。

いずれにせよ、なんだかんだうまく切り抜けていく。それが「創造主」たる人間の得意技ですからね。

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