あのTRPGはいま? ヴァンパイアの現在
その名前のとおりプレイヤーがヴァンパイア(吸血鬼)となるロールプレイングゲーム。ロードス島戦記あたりから始まった日本のTRPGブームが終わりを迎えようとしているころに、海外ではこんなのが流行ってるぞ、みたいな感じで知られ始めました。
ヴァンパイアは『ワールド・オブ・ダークネス』というシリーズのひとつです。
ゲームとしてはいわゆる「現代もの」にあたり、人間社会の影で人知れず暗躍しているヴァンパイアやワーウルフや魔術師たち、つまり「暗黒の世界」の住人たちをPCとして演ずるゲームである。 ホワイトウルフ社はこの世界観を”ゴシックパンク”という言葉で説明している。
プレイヤーキャラクター (PC) が演ずる種族ごとに違うシリーズのゲームが別タイトルで発売されるようになっていて、例えばヴァンパイアをPCとして演ずるゲームは『ヴァンパイア:ザ・マスカレード』のシリーズとなり、ワーフルフを演ずるゲームは『ワーウルフ:ジ・アポカリプス』のシリーズとなる。
引用: Wikipedia「ワールド・オブ・ダークネス」より
ゲームスタイルとしてはD&Dやシャドウランのような戦闘主体ではなく、物語を楽しむことを目的とするタイプ。
わたしはシリーズのなかでも『チェンジリング』(プレイヤーは妖精となる)が好きでした。当時どこにも置いていなかったので、アメリカへ旅行にいく友人に頼んで買ってきてもらったのはいい思い出です。
そんな「ヴァンパイア」をふくむ「ワールド・オブ・ダークネス」シリーズがいまどうなっているかというと……
こちらもお元気でなによりです
いまは Onyx Path Publishing から発売されています。この Onyx Path Publishing という会社はもともと White Wolf Publishing 社のクリエイティブ・ディレクターであった Richard Thomas によって設立された会社。
シリーズもいまでは「Chronicles of Darkness」として、以前の旧ワールド・オブ・ダークネスとは直接のつながりがない世界で展開されています。
2011年にはヴァンパイアの20週年記念版が発売されました。その後も各シリーズの20周年版が展開されたり、コアルールが新しくなったりしているようです。
ちなみにもともとの版元である White Wolf Publishing は昨年の10月に CCP. Paradox というオンラインゲームの会社に買収されました。
いっぽう日本では……
旧ワールド・オブ・ダークネスはアトリエサード社から、クロニクルのほうは新紀元社から発売されました。しかしどちらもいまではほとんど活動なしですね。まあ版元が変わったので翻訳権の問題もあるのでしょう。
それに翻訳されたのは「ヴァンパイア」「ワーウルフ」「メイジ」といったところまで。わたしが好きだった「チェンジリング」はとうとう日本語訳されずじまいです。
日本では世界観の共有が難しい
ワールド・オブ・ダークネスのシリーズは、ストーリーテリングゲームと自ら名乗っているように物語を楽しむゲームとなっています。
そのためには世界観や背景設定の理解と共有が不可欠。海外ではヴァンパイアやワーウルフといった存在はポピュラーなので、すこし説明を加えるだけで世界観を共有できるのでしょう。しかし日本ではそうはいかない。
映画をみたり小説を読んだりすることで世界観をつかむことはできます。だけどそれだけの準備が全員に必要となると、やっぱり遊び始めるまでのハードルはかなり高いといえます。
日本だと妖怪ウォッチとかですかね……