商品を撮影した写真と著作権
2016/12/15
ブログには紹介記事がつきもの。電化製品だったり日用品だったり、何かしら商品を紹介する記事はよく見かけるし書いたりもする。
そうした紹介記事には、やっぱり商品の写真があったほうが記事の信憑性が増すというか価値があがる気がします。
だけど、商品の写真をブログに貼り付けて、著作権とか大丈夫なのかな?
よく分からなかったので調べてみました。
先に結論を書いちゃうと、工業製品の場合は基本的に問題ないけれど美術的価値がある場合はダメ。
ちなみに、ここで問題としているのは“商品を私が撮影した写真をブログに掲載した場合に、その商品の著作権(およびその他の権利)を侵害しないかどうか”ということ。
他人が撮影した写真の使用については、また別の問題が発生するので、今回は除外します。
工業製品はまず問題なし
著作物の定義は、著作権法により以下の様に定められています。
思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの
つまり、「芸術的要素があるかどうか」ということが、著作権で守られるか否かの別れ目になります。「コーヒーカップの写真の著作権」(All About)より
ここでいう工業製品とは、PCや自転車など、それ自体を美術品として鑑賞するような対象でないもの、となります。
だからスマートフォンを購入してレビュー記事を書くとき、そのスマートフォンを撮影した写真をブログにのっけても問題ない。
ただし、美術的価値があるとダメ
キャラクターが描かれているものや書籍の表紙などは「思想又は感情を創作的に表現したものであって 文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」にあたるでしょうから、美術の著作物に含まれる。だから、そういったものを撮影した写真をブログに掲載するのはよしたほうが良さそうです。
あと、工業製品であっても、それが美術的な価値を持つものであれば著作権が認められるそうですよ。以下は子供用のイスに美術的価値が認められた裁判の判決文です。
著作権法が,「文化的所産の公正な利用に留意しつつ,著作者等の権利の保護を図り,もって文化の発展に寄与することを目的と」していること(同法1条)に鑑みると,表現物につき,実用に供されること又は産業上の利用を目的とすることをもって,直ちに著作物性を一律に否定することは,相当ではない。同法2条2項は,「美術の著作物」の例示規定にすぎず,例示に係る「美術工芸品」に該当しない応用美術であっても,同条1項1号所定の著作物性の要件を充たすものについては,「美術の著作物」として,同法上保護されるものと解すべきである。
「平成27年4月14日知的財産高等裁判所(平成26(ネ)10063」(裁判所)より
美術の著作物には例外もあるけど……
著作権法では、美術の著作物についても、第47条の2において、「美術の著作物等の譲渡等」の場合に一定の条件を守ることで例外的に商品の画像を掲載できると定められています。
美術又は写真の著作物は,それらの譲渡等の申出のために行う商品紹介用画像の掲載(複製及び自動公衆送信)を,政令(施行令第7条の2)で定める著作権者の利益を不当に害しないための措置(画像を一定以下の大きさ・画素にすることなど)を講じている場合に限って行うことができる。
「著作物が自由に使える場合」(文化庁)より
うーん。「美術の著作物等の譲渡等」にブログの紹介記事が含まれるかどうかは怪しいなあ。たぶんアウト。
Amazonアフィリエイトの画像なら大丈夫
商品に美術的価値があるかどうか判断に迷う場合は、Amazonアフィリエイトの画像を使用するようにしましょう。
Amazonアフィリエイトの画像は、商品を紹介してAmazonへ誘導する限りにおいて使用可能なのだそうですよ。
[参考] 「[メモ] Amazonの画像を利用する件について考えてみた」(tama’s memo)